簿記3級・第3問(決算問題)の攻略法。部分点を積み上げる解き方と整理仕訳の順番
第3問は「満点を取る問題」ではない
簿記3級の試験は、仕訳中心の第1問、補助簿や勘定記入などの第2問、そして決算問題の第3問という構成が一般的です。配点は第1問が45点、第3問が35点程度とされることが多く、この2つで合格点の大半をまかなえます。ただし出題形式や配点は変わる可能性があるため、受験前に日本商工会議所の公式サイトで最新情報を確認してください。
第3問で多くの受験生が誤解しているのが、「最後まで完成させないと点にならない」という思い込みです。実際には、精算表や決算整理後残高試算表、貸借対照表・損益計算書のいずれの形式でも、採点は欄ごとに行われると考えられており、途中までしか埋まっていなくても埋めた箇所が合っていれば得点になります。つまり第3問は、当期純利益まで一致させる完成度よりも、正答欄の数を最大化する戦略で挑む問題です。
部分点を最大化する3つの原則
- 簡単な整理仕訳から処理する。全部の仕訳を切れなくても、切れた分だけ記入すれば点になります
- 当期純利益の一致にこだわらない。最後の差額計算は配点に対して時間がかかりすぎるため、時間が余ったときの確認作業と割り切ります
- 整理仕訳が不要な科目を先に写す。試算表の金額がそのまま答案に移る科目は、確実な得点源です
とくに3つ目は見落とされがちです。決算整理と無関係な科目は、転記するだけで正解できます。難しい仕訳に悩む前に、動かない科目を先に埋めてしまいましょう。
整理仕訳は「型」の順番で処理する
第3問の決算整理事項は、出題される論点がかなり固定されています。毎回同じ順番で処理する「型」を持つと、抜け漏れが減り、スピードも上がります。
- 1現金過不足・仮払金・仮受金など未処理事項の整理
- 2売上原価の算定(仕入と繰越商品の振替)
- 3貸倒引当金の設定(差額補充法に注意)
- 4減価償却費の計上(月割の有無を確認)
- 5費用・収益の前払い・前受け・未払い・未収の計上
- 6貯蔵品への振替や当座借越の振替などの残り論点
先に未処理事項を片付けるのは、貸倒引当金や売上原価の計算が「整理後の残高」を前提にすることがあるためです。順番を誤ると連鎖的に間違えるので、未処理事項が最優先という点だけは必ず守ってください。
論点別・配点効率の目安
第3問の中でも、かけた時間に対して得点になりやすい論点とそうでない論点があります。
| 論点 | 難易度の目安 | 優先度 |
|---|---|---|
| 整理仕訳が不要な科目の転記 | 易しい | 最優先 |
| 減価償却・前払い・未払い | 標準 | 高い |
| 貸倒引当金・売上原価 | 標準 | 高い |
| 現金過不足など未処理事項 | 問題による | 高い(他に影響するため) |
| 当期純利益の算定 | 集計力勝負 | 低い(最後に余裕があれば) |
このように、当期純利益は「全欄が正しいときのご褒美」程度に考え、標準論点の正確な処理に時間を投資するのが効率的です。各論点の解き方があいまいな方は、教材記事で決算整理の単元を確認してから演習に入ると効果的です。
出題形式ごとの注意点
第3問は、精算表・決算整理後残高試算表・貸借対照表と損益計算書の作成という3つの形式が中心です。どの形式でも整理仕訳の中身は同じですが、答案の書き方に固有の注意点があります。
- 精算表では、修正記入欄に書いた金額を損益計算書欄・貸借対照表欄へ横に流す際の加減方向に注意する
- 決算整理後残高試算表では、整理仕訳を反映した「後」の金額を書く。整理前の金額をそのまま写す事故が起きやすい形式です
- 貸借対照表・損益計算書では、繰越商品を「商品」、当期純利益を繰越利益剰余金に含めるなど、表示上の名称や区分が変わる点に注意する
本番でどの形式が出ても慌てないよう、3形式を最低1回ずつは経験しておきましょう。
練習では「時間を計って途中で切る」
第3問の演習は、本番と同じ制約で行うことが重要です。3級の試験時間は60分程度とされており、第3問に使えるのは実質20〜25分前後です。練習の段階から25分で強制終了し、その時点で何点分埋められたかを数えてください。時間無制限で解く練習だけを重ねると、本番で「完成させようとして時間切れ」という最悪のパターンに陥ります。時間を計った演習には問題集の決算問題を活用してください。
まとめ
第3問は、完成度ではなく正答欄の数で勝負する問題です。整理仕訳が不要な科目を先に写し、未処理事項から始まる型どおりの順番で整理仕訳を処理し、当期純利益の一致は最後の楽しみに取っておく。この戦略を身につければ、仮に一部の仕訳が切れなくても20点以上を安定して確保できます。第1問の仕訳と合わせれば、合格点は十分に射程圏内です。まずは25分の時間制限つきで、1問解いてみましょう。
