会計マスター

材料費を完全マスターする — 分類・購入原価・消費額・棚卸減耗まで

簿記2級工業簿記材料費原価計算

材料費とは何か

材料費とは、製品を作るために消費した物品の原価のことです。工業簿記では、材料を「買ったとき」ではなく「使ったとき」に費用(原価)として計上するのが大原則です。購入した材料はいったん資産(材料勘定)となり、消費した分だけが材料費になります。

材料費は、製品との関係で次の2つに分かれます。

  • 直接材料費 … どの製品にいくら使ったかが明らかなもの
  • 間接材料費 … 特定の製品と結びつけられないもの

直接材料費は仕掛品勘定へ、間接材料費は製造間接費勘定へ振り替えるという流れが、工業簿記全体を貫く基本ルートです。

材料の5つの分類

試験では、材料の分類を問う問題が頻出です。次の表で整理しましょう。

分類内容・例直接/間接
主要材料費(素材費・原料費)製品の本体になる材料。家具工場の木材など直接材料費
買入部品費外部から購入しそのまま取り付ける部品。自動車のタイヤなど直接材料費
補助材料費製造を補助する材料。塗料、接着剤、潤滑油など間接材料費
工場消耗品費工場で使う消耗品。軍手、機械油、ウエスなど間接材料費
消耗工具器具備品費耐用年数1年未満または少額の工具・器具。スパナ、ドライバーなど間接材料費

重要なのは、主要材料費と買入部品費が直接材料費、それ以外の3つが間接材料費になるという対応関係です。

直接材料費

  • 主要材料費(素材費・原料費)
  • 買入部品費

間接材料費

  • 補助材料費
  • 工場消耗品費
  • 消耗工具器具備品費

購入原価の計算 — 材料副費を忘れない

材料の購入原価は、購入代価そのものではありません。

購入原価 = 購入代価 + 材料副費

材料副費とは、引取運賃・購入手数料・関税などの付随費用です。たとえば、材料500,000円を掛けで購入し、引取運賃20,000円を現金で支払った場合の仕訳は次のとおりです。

材料の購入(購入代価+引取運賃)

借方(左)

材料520,000
合計520,000

貸方(右)

買掛金500,000
現金20,000
合計520,000

材料副費は実際額がすぐに判明しないことも多いため、予定配賦することも認められています。たとえば購入代価の2パーセントを材料副費として予定配賦する場合、購入代価500,000円なら10,000円を加算して材料勘定に記入します。予定配賦額と実際発生額に差が出たときは、材料副費差異勘定に振り替えます。

消費額の計算 — 先入先出法と平均法

同じ材料でも購入時期によって単価が異なるため、払い出した材料にどの単価を使うかを決める必要があります。2級で問われるのは主に次の2つです。

先入先出法

先に買った材料から先に使うと仮定する方法です。

例: 月初在庫100kg(単価200円)、当月購入300kg(単価220円)、当月消費320kg

  • 月初分 100kg × 200円 = 20,000円
  • 当月購入分 220kg × 220円 = 48,400円
  • 消費額合計 = 68,400円

平均法(総平均法)

月初在庫と当月購入の合計金額を合計数量で割って平均単価を求める方法です。

例: 月初在庫200kg・42,000円、当月購入300kg・66,000円、当月消費400kg

  • 平均単価 =(42,000円 + 66,000円)÷(200kg + 300kg)= 216円
  • 消費額 = 400kg × 216円 = 86,400円

どちらの方法でも、消費額と月末在庫の合計は必ず受入合計と一致します。検算に使いましょう。

材料

月初有高42,000
当月仕入66,000
当月消費86,400
月末有高21,600

予定消費価格と材料消費価格差異

実際の購入単価は月末まで確定しないことがあるため、あらかじめ決めた予定消費価格で消費額を計算する方法があります。

予定消費額 = 予定消費価格 × 実際消費数量

消費時には予定消費額で仕掛品(または製造間接費)へ振り替えます。

予定消費額での振り替え

借方(左)

仕掛品50,000

貸方(右)

材料50,000

月末に実際消費額が52,000円と判明したら、差額2,000円を材料消費価格差異勘定に振り替えます。

材料消費価格差異への振り替え(借方差異)

借方(左)

材料消費価格差異2,000

貸方(右)

材料2,000

実際が予定を上回った場合は借方差異(不利差異)、下回った場合は**貸方差異(有利差異)**です。予定より多くかかったら不利、と素直に考えれば迷いません。

棚卸減耗の処理

月末に実地棚卸を行うと、帳簿上の在庫数量より実際の数量が少ないことがあります。この差が棚卸減耗です。

棚卸減耗費 =(帳簿棚卸数量 − 実地棚卸数量)× 単価

たとえば帳簿棚卸数量50kg、実地棚卸数量48kg、単価200円なら、棚卸減耗費は2kg × 200円 = 400円です。

棚卸減耗費の計上

借方(左)

製造間接費400

貸方(右)

材料400

正常な範囲の棚卸減耗費は間接経費として製造間接費に振り替えます。特定の製品のせいで減ったわけではないため、直接費にはできないのです。

まとめ

  • 材料は5つに分類され、主要材料費と買入部品費だけが直接材料費
  • 購入原価は購入代価に材料副費を加算して求める(予定配賦も可)
  • 消費額は先入先出法または平均法で計算する
  • 予定消費価格を使う場合、実際との差額は材料消費価格差異(実際が多ければ借方差異)
  • 正常な棚卸減耗費は製造間接費として処理する

材料費は計算パターンが決まっているため、手を動かした分だけ得点源になります。下の問題集で計算の流れを確認しましょう。

📚 試験で覚えるべき用語

材料費
製品を作るために消費した物品の原価。購入時ではなく消費時に原価となり、直接材料費は仕掛品勘定へ、間接材料費は製造間接費勘定へ振り替える。
材料副費
引取運賃・購入手数料・関税など材料購入に伴う付随費用。購入代価に加算して購入原価とし、予定配賦も認められる。
先入先出法
先に購入した材料から先に消費すると仮定して払出単価を決める方法。消費額は古い単価から順に計算する。
平均法(総平均法)
月初在庫と当月購入の合計金額を合計数量で割って平均単価を求め、消費額の計算に使う方法。
予定消費価格
あらかじめ定めておく材料の消費単価。予定消費価格×実際消費数量で予定消費額を計算し、原価計算を迅速化する。
材料消費価格差異
予定消費額と実際消費額の差額を集計する勘定。実際が予定を上回れば借方差異(不利差異)、下回れば貸方差異(有利差異)。
棚卸減耗費
帳簿棚卸数量と実地棚卸数量の差に単価を掛けた金額。正常な範囲のものは間接経費として製造間接費に振り替える。