会計マスター

リース取引の会計処理を基礎から理解する — 利子込み法と利子抜き法

簿記2級リース取引固定資産

簿記2級で新しく登場するリース取引は、「借りているだけなのに資産計上する」という発想の転換が求められる論点です。しかし処理のパターンは限られており、利子込み法と利子抜き法の違いさえ押さえれば安定して得点できます。順番に見ていきましょう。

リース取引の2つの分類

リース取引とは、リース会社(貸手)から備品や車両などの物件を借り、リース料を支払って使用する取引です。会計上は次の2つに分類されます。

分類実態会計処理
ファイナンス・リース取引実質的に分割払いでの購入売買処理(リース資産・リース債務を計上)
オペレーティング・リース取引通常の賃貸借賃貸借処理(支払リース料を計上)

ファイナンス・リース取引と判定されるのは、次の2つの要件を両方満たす取引です。

  • 解約不能 … リース期間の途中で解約できない
  • フルペイアウト … 物件の経済的利益をほぼすべて享受し、コストをほぼすべて負担する

ファイナンス・リースは法的には賃貸借でも、経済的実態は売買です。そのため物件を購入したのと同様に、リース資産(資産)とリース債務(負債)を計上します。

ファイナンス・リースの処理 — 利子込み法

リース料総額には利息相当額が含まれています。利子込み法は、この利息を区分せずリース料総額をそのままリース資産・リース債務として計上する簡便な方法です。

例1: リース契約を結んだ(利子込み法)

年間リース料20,000円、リース期間5年の備品のファイナンス・リース契約を結んだ(見積現金購入価額90,000円)。

リース料総額は 20,000円 × 5年 = 100,000円 なので、次のように仕訳します。

契約時

借方(左)

リース資産100,000

貸方(右)

リース債務100,000

リース料を現金で支払ったときは、リース債務を取り崩すだけです。

リース料支払時

借方(左)

リース債務20,000

貸方(右)

現金20,000

利息はリース資産の取得原価に含まれているため、支払利息は計上しません

ファイナンス・リースの処理 — 利子抜き法(定額法)

利子抜き法は、利息相当額を除いた見積現金購入価額でリース資産・リース債務を計上する方法です。利息相当額はリース期間にわたり定額法で配分し、支払時に支払利息として計上します。

例2: リース契約を結んだ(利子抜き法)

例1と同じ契約(リース料総額100,000円、見積現金購入価額90,000円)の場合は次のとおりです。

契約時

借方(左)

リース資産90,000

貸方(右)

リース債務90,000

利息相当額は 100,000円 − 90,000円 = 10,000円 で、5年で割ると毎年2,000円です。リース料20,000円を現金で支払ったときは、元本部分18,000円と利息部分2,000円に分けます。

毎回のリース料20,000円の内訳
元本部分 18,000円
利息部分 2,000円
リース料支払時

借方(左)

リース債務18,000
支払利息2,000
合計20,000

貸方(右)

現金20,000
合計20,000
方法リース資産の計上額支払時の処理
利子込み法リース料総額 100,000円リース債務の減少のみ
利子抜き法見積現金購入価額 90,000円リース債務の減少+支払利息

利子込み法は利息を含めて計上、利子抜き法は利息を抜いて計上。この対比を軸に覚えると混乱しません。

利子込み法

  • リース料総額100,000円で計上
  • 支払時はリース債務を減らすだけ
  • 支払利息は計上しない

利子抜き法

  • 見積現金購入価額90,000円で計上
  • 支払時は元本と利息に区分
  • 利息相当額を定額法で配分

リース資産の減価償却

ファイナンス・リースで計上したリース資産は、決算時に他の固定資産と同じように減価償却します。簿記2級では耐用年数はリース期間、残存価額はゼロ、定額法で計算するのが基本です。

例3: 決算時の減価償却(利子込み法・間接法)

例1のリース資産(計上額100,000円、リース期間5年)を決算で減価償却した。

減価償却費は 100,000円 ÷ 5年 = 20,000円 です。

借方(左)

減価償却費20,000

貸方(右)

リース資産減価償却累計額20,000

利子抜き法なら計上額90,000円をもとに 90,000円 ÷ 5年 = 18,000円 となります。採用した方法によって減価償却費も変わる点に注意しましょう。

オペレーティング・リースの処理

ファイナンス・リース以外のリース取引はオペレーティング・リース取引となり、通常の賃貸借と同じ処理をします。リース資産やリース債務は計上せず、リース料を支払ったときに費用計上するだけです。

借方(左)

支払リース料20,000

貸方(右)

現金20,000

決算日までに支払日が到来していない期間の分は、経過勘定(未払リース料など)で月割計上することもあります。

まとめ

  • リース取引はファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類される
  • ファイナンス・リースは売買処理で、リース資産とリース債務を計上する
  • 利子込み法はリース料総額、利子抜き法は見積現金購入価額で計上する
  • 利子抜き法の利息相当額は定額法で配分し、支払時に支払利息とする
  • リース資産はリース期間・残存価額ゼロで減価償却する
  • オペレーティング・リースは支払リース料で賃貸借処理する

2つの方法を並べて仕訳を書き比べると、違いが一気に頭に入ります。下の問題集で計算問題まで仕上げましょう。

📚 試験で覚えるべき用語

ファイナンス・リース取引
解約不能とフルペイアウトの2要件を両方満たすリース取引。経済的実態は売買のため、リース資産とリース債務を計上する売買処理を行う。
オペレーティング・リース取引
ファイナンス・リース以外のリース取引。通常の賃貸借と同じ処理を行い、リース料支払時に支払リース料(費用)を計上するだけ。
フルペイアウト
リース物件の経済的利益をほぼすべて享受し、コストもほぼすべて負担すること。解約不能と並ぶファイナンス・リースの判定要件。
リース資産
ファイナンス・リースで計上する資産の勘定科目。決算時に耐用年数をリース期間、残存価額をゼロとして定額法で減価償却する。
リース債務
ファイナンス・リースで計上する負債の勘定科目。リース料の支払いのつど取り崩す。
利子込み法
利息相当額を区分せず、リース料総額でリース資産・リース債務を計上する方法。支払時はリース債務を減らすだけで支払利息は計上しない。
利子抜き法
見積現金購入価額でリース資産・リース債務を計上する方法。利息相当額はリース期間にわたり定額法で配分し、支払時に支払利息とする。