会計マスター

固定資産の応用論点を総ざらい — 割賦購入・圧縮記帳・200%定率法まで

簿記2級固定資産減価償却

簿記3級では固定資産の取得と定額法による減価償却を学びました。簿記2級ではそこから一歩進んで、割賦購入・建設仮勘定・圧縮記帳・200%定率法など、実務に近い応用論点が登場します。この記事で頻出パターンをまとめて整理しましょう。

割賦購入 — 利息は取得原価に含めない

固定資産を分割払いで購入すると、支払総額には利息相当額が上乗せされています。取得原価になるのは現金購入価額のみで、利息部分は費用として区分します。試験では利息部分をいったん前払利息として計上し、支払いのつど支払利息へ振り替える方法がよく出題されます。

例1: 備品を割賦購入した

現金購入価額600,000円の備品を、月々105,000円の6回払い(支払総額630,000円)で購入した。

購入時

借方(左)

備品600,000
前払利息30,000
合計630,000

貸方(右)

未払金630,000
合計630,000
支払総額630,000円の内訳
現金購入価額 600,000円
利息相当額 30,000円

第1回の支払時(当座預金から支払い)は次のようになります。

第1回支払時

借方(左)

未払金105,000
支払利息5,000
合計110,000

貸方(右)

当座預金105,000
前払利息5,000
合計110,000

利息総額30,000円を6回に均等配分し、1回あたり5,000円を費用化します。

建設仮勘定 — 完成前の支払いを集める勘定

建物の建設を依頼して手付金や中間金を支払ったときは、まだ建物が完成していないため**建設仮勘定(資産)**で処理します。完成して引き渡しを受けたときに建物勘定へ振り替えます。

手付金・中間金の支払時

借方(左)

建設仮勘定2,000,000

貸方(右)

当座預金2,000,000

完成・引渡時(追加で1,000,000円を支払った場合)は次のとおりです。

完成・引渡時

借方(左)

建物3,000,000
合計3,000,000

貸方(右)

建設仮勘定2,000,000
当座預金1,000,000
合計3,000,000

建設仮勘定は減価償却しません。減価償却は建物勘定に振り替えて事業の用に供してから始まります。

建設仮勘定の流れ
手付金・中間金の支払い建設仮勘定(資産)に計上完成・引渡し建物勘定へ振替減価償却の開始

改良と修繕 — 資本的支出と収益的支出

区分内容処理
資本的支出(改良)資産の価値を高める・耐用年数を延ばす支出固定資産の取得原価に加算
収益的支出(修繕)元の状態を維持・回復するための支出修繕費(費用)

資本的支出(改良)

  • 資産の価値を高める・耐用年数を延ばす
  • 例: 避難階段の増設
  • 固定資産の取得原価に加算

収益的支出(修繕)

  • 元の状態の維持・回復
  • 例: 壁の塗り替え・雨漏りの修理
  • 修繕費(費用)で処理

建物の避難階段の増設は資本的支出、壁の塗り替えや雨漏りの修理は収益的支出です。支出300,000円のうち200,000円が改良分、100,000円が修繕分なら次のように仕訳します。

借方(左)

建物200,000
修繕費100,000
合計300,000

貸方(右)

当座預金300,000
合計300,000

除却・廃棄と買換え

使わなくなった固定資産を帳簿から取り除くことを除却といいます。除却した資産に処分価値(スクラップ価値)があれば貯蔵品として計上し、帳簿価額との差額を固定資産除却損とします。廃棄の場合は処分価値がないため、帳簿価額全額が固定資産廃棄損です。

買換えは「旧資産の売却」と「新資産の購入」を同時に行う取引で、下取価額を旧資産の売却価額とみなして売却損益を計算します。

減価償却の応用

200%定率法

定率法の一種で、償却率 = 1 ÷ 耐用年数 × 200% を期首帳簿価額(取得原価 − 減価償却累計額)に掛けて償却費を求めます。

耐用年数5年なら償却率は 1 ÷ 5 × 200% = 0.4 です。取得原価800,000円の備品の場合は次のように計算します。

年度期首帳簿価額償却費の計算減価償却費
1年目800,000円800,000 × 0.4320,000円
2年目480,000円480,000 × 0.4192,000円
3年目288,000円288,000 × 0.4115,200円

定率法は取得原価ではなく期首帳簿価額に償却率を掛けることが最重要ポイントです。

生産高比例法

車両や鉱業用設備など利用度が測定できる資産に適用し、当期利用量 ÷ 総利用可能量の割合で償却します。

減価償却費 = (取得原価 − 残存価額) × 当期利用量 ÷ 総利用可能量

月次減価償却

実務では年1回ではなく、年間償却費の12分の1を毎月計上する月次減価償却が広く行われています。期中に取得した資産は、使用開始月から決算月までの月割りで償却費を計算します。

圧縮記帳(直接減額方式)

国庫補助金を受け取って固定資産を取得した場合、補助金は国庫補助金受贈益(収益)となり、そのままでは受け取った期に課税されてしまいます。そこで固定資産圧縮損を計上して固定資産の帳簿価額を直接減額し、課税を将来に繰り延べるのが圧縮記帳です。

例2: 補助金で機械を取得し圧縮記帳した

国庫補助金200,000円を現金で受け取り、機械500,000円を現金で購入して直接減額方式による圧縮記帳を行った。

補助金の受取時

借方(左)

現金200,000

貸方(右)

国庫補助金受贈益200,000
機械の購入時

借方(左)

機械500,000

貸方(右)

現金500,000
圧縮記帳(直接減額方式)

借方(左)

固定資産圧縮損200,000

貸方(右)

機械200,000

圧縮後の帳簿価額は300,000円となり、以後の減価償却は300,000円をもとに計算します。

まとめ

  • 割賦購入は現金購入価額を取得原価とし、利息は区分して費用化する
  • 建設中の支払いは建設仮勘定に集め、完成時に建物へ振り替える
  • 資本的支出は資産計上、収益的支出は修繕費
  • 200%定率法は期首帳簿価額 × 償却率、生産高比例法は利用量の割合で償却
  • 圧縮記帳(直接減額方式)は圧縮損の計上で帳簿価額を減らし、課税を繰り延べる

論点は多いものの、一つひとつの仕訳はシンプルです。下の問題集で計算パターンを繰り返し、確実に得点できるようにしましょう。

📚 試験で覚えるべき用語

割賦購入
固定資産を分割払いで購入すること。取得原価は現金購入価額のみとし、上乗せされた利息相当額は支払利息などで区分処理する。
建設仮勘定
建設中の固定資産に対する手付金や中間金を集めておく資産の勘定科目。完成・引渡時に建物勘定へ振り替え、それまでは減価償却しない。
資本的支出
資産の価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする改良のための支出。固定資産の取得原価に加算する。
収益的支出
資産を元の状態に維持・回復するための修繕の支出。修繕費(費用)で処理する。
200%定率法
1÷耐用年数×200%で求めた償却率を期首帳簿価額(取得原価−減価償却累計額)に掛けて減価償却費を計算する方法。
生産高比例法
車両や鉱業用設備など利用度を測定できる資産に適用し、(取得原価−残存価額)×当期利用量÷総利用可能量で償却費を計算する方法。
圧縮記帳
国庫補助金で固定資産を取得した際、固定資産圧縮損を計上して帳簿価額を直接減額し、課税を将来に繰り延べる処理。以後の減価償却は圧縮後の帳簿価額で計算する。
固定資産除却損
使わなくなった固定資産を帳簿から取り除いたときの、帳簿価額と処分価値(貯蔵品)との差額を処理する費用の勘定科目。