会計マスター
簿記2級24

簿記2級・模試の活用法 — 時間を計る意味と結果の振り返り方

模試は「実力測定」よりも「本番の予行演習」

模試と聞くと、今の実力を測るためのものと考えがちです。もちろんそれも役割の一つですが、簿記2級における模試の最大の価値は、本番と同じ条件で解く経験そのものにあります。

簿記2級の試験時間は90分。この中で仕訳問題から総合問題まで大問5問を解き切るには、知識だけでなく、時間配分・解く順番・捨て問の判断という「試験運び」の技術が必要です。そして試験運びは、単元別の問題演習では絶対に身につきません。通しで解く模試だけが鍛えられる領域なのです。

時間を計ることの3つの意味

模試を解くときは、必ず90分を計測し、途中で止めないでください。時間を計ることには次の意味があります。

  • 時間感覚の獲得: 第1問に何分かけられるか、総合問題に何分残すべきかという相場観は、計測なしには身につきません
  • プレッシャー下の精度確認: 残り時間に追われた状態での計算精度は、普段の演習より確実に落ちます。その「落ち幅」を知ることが本番対策です
  • 捨て問判断の練習: 時間が無限にあれば捨て問は発生しません。制限時間があって初めて、「この問題を飛ばす」という本番で最も重要な判断を練習できます

逆に言えば、時間を計らずに解いた模試は、単なる問題演習と変わりません。90分で解き切れなかった部分は、いったん時間切れとして採点したうえで、続きを別枠で解くようにすると、実力と試験運びの両方を評価できます。

点数よりも「失点の内訳」を見る

模試の結果で一喜一憂するのは自然なことですが、合否を分けるのは点数の受け止め方ではなく、振り返りの質です。次の手順で失点を分解してみてください。

模試の振り返り手順
  1. 1全失点を「知識不足」「時間不足」「ケアレスミス」の3つに分類する
  2. 2知識不足の論点をリスト化し、テキストと問題集で個別に補強する
  3. 3時間不足なら、どの大問で時間を使いすぎたかを特定し、解く順番を見直す
  4. 4ケアレスミスは内容を記録し、検算や指差し確認などの対策を決める
  5. 51〜2週間後に別の模試で、対策の効果を検証する

たとえば同じ60点でも、「知識不足で40点落とした60点」と「時間不足で総合問題に手が回らなかった60点」では、次にやるべきことがまったく違います。前者は単元学習への回帰、後者は解く順番と時間配分の再設計です。点数はただの合計値で、情報は内訳にしか含まれていません。

解く順番を実験する場としての模試

模試のもう一つの使い方が、解く順番の実験です。大問を1番から順に解く必要はありません。よく採られる戦略には次のようなものがあります。

戦略ねらい
第1問から順番どおり仕訳でウォーミングアップして流れに乗る
工業簿記(第4・5問)を先に解くパターンが安定した得点源を先に確保する
第1問のあと工業簿記へ仕訳と得点源を先に固め、重い総合問題を最後に

どれが正解かは人によって異なります。本番でぶっつけの順番を試すのは危険なので、模試のうちに2〜3パターンを試し、自分の得点が最も安定する順番を見つけておきましょう。特にネット試験を受ける方は、画面上で問題を行き来する操作感も含めて、パソコンで解く形式に慣れておくことが重要です。

このサイトでも本番形式の演習ができます。時間を計った通し演習の場として、ぜひ 模試に挑戦 してみてください。

本番を再現する環境づくり

模試の効果は、本番との条件の近さに比例します。自宅で解く場合も、次の点をそろえるだけで予行演習としての価値が大きく上がります。

  • スマートフォンは別室に置き、90分間は中断しない
  • 使用する電卓・筆記用具は本番に持ち込むものと同じにする
  • メモ用紙の使い方(下書きのレイアウト)を本番と同じ形式で統一する
  • 解き終わったら見直しの時間まで含めて90分内で完結させる

特にメモ用紙の使い方は見落とされがちです。仕訳の下書きやタイムテーブルをどこにどう書くかを模試のうちに定型化しておくと、本番で「自分の下書きが読めない」「集計対象を拾い漏らす」というミスを防げます。

模試を受けるタイミングと回数

模試は、全範囲の学習が一通り終わった段階から始めるのが基本です。目安として、初回は試験の1〜1.5か月前、その後は1〜2週間おきに合計3〜5回程度回すと、振り返りと補強のサイクルが機能します。仕上がっていない段階で受けても「知識不足」という分かりきった結果が出るだけなので、焦って早くから回数を重ねる必要はありません。

まとめ

簿記2級の模試は、実力測定の道具である以上に、時間配分・解く順番・捨て問判断という試験運びを鍛える予行演習の場です。必ず90分を計って解き、結果は点数ではなく失点の内訳で振り返りましょう。知識不足・時間不足・ケアレスミスのどれが主因かによって、次の一手は変わります。模試から補強、そして次の模試へというサイクルを3〜5回回せたとき、本番は「いつもの演習」に変わっているはずです。