予備校と独学、どちらを選ぶ?費用と続けやすさで考える選び方
最初に立ちはだかる「予備校か独学か」問題
簿記3級の学習を独学で乗り越えた方ほど、「会計士試験も独学でいけるのでは」と考えるものです。一方で、公認会計士試験の合格者の多くは予備校や通信講座を利用していると言われており、独学合格は少数派とされています。この記事では、両者の利点と欠点、費用感を整理したうえで、現実的な第三の選択肢であるハイブリッド戦略まで紹介します。
予備校を利用する場合
利点
- カリキュラムが完成されており、「何をいつやるか」を考えなくてよい
- 答練や模試で、受験生全体の中での自分の位置が分かる
- 論文式の答案は添削を受けられるため、独りよがりな答案になりにくい
- 法改正や会計基準の変更、試験制度の変化に教材が自動で追随する
- 質問対応や自習室など、継続を支える環境がある
欠点
- 費用が高額で、通学・通信を問わずまとまった初期投資が必要
- カリキュラムのペースが合わないと、消化不良のまま講義だけが進む
- 「講義を受けること」自体が目的化し、演習が不足するリスクがある
費用感
大手予備校の会計士講座は、コースにもよりますがおおむね50万〜80万円程度と言われます。通信専門のスクールやオンライン講座では、おおむね20万〜40万円程度に抑えられる場合もあります。金額は時期やキャンペーンで変動するため、必ず最新の各校の案内で確認しましょう。
独学の場合
利点
- 費用は市販教材の購入費のみで、おおむね数万〜10万円程度に収まる
- 自分のペースで進められ、得意分野を飛ばし苦手分野に時間をかけられる
- 教材選びから計画まで自分で行うため、学習の主体性が鍛えられる
欠点
- 会計士試験用の市販教材は簿記検定に比べて種類が少なく、特に論文対策の独学は難度が高い
- 答練・模試・添削といった「アウトプットの質を測る仕組み」を自前で用意しにくい
- 制度変更や改正情報を自分で追いかける必要がある
- 進捗の遅れに気づきにくく、挫折しても誰にも気づかれない
比較表で整理する
| 観点 | 予備校 | 独学 |
|---|---|---|
| 費用 | おおむね20万〜80万円程度 | おおむね数万〜10万円程度 |
| 教材・情報 | 最新に自動追随 | 自力で収集 |
| ペース管理 | カリキュラムに乗る | 完全に自己管理 |
| 答案添削 | あり | 基本的になし |
| 向いている人 | 最短合格を狙いたい人 | 資金を抑えたい人・自己管理が得意な人 |
ハイブリッド戦略という現実解
実際には「全部予備校」か「全部独学」かの二択ではありません。次のような組み合わせが考えられます。
- 短答式までは独学中心で進め、論文式対策から予備校の講座と添削を利用する
- 計算科目(財務会計論・管理会計論)は市販教材と簿記の延長で独学し、理論科目や企業法は講義を利用する
- 普段は独学で、答練と模試だけ予備校の単科パックを申し込む
特に「答練・模試だけは外部を使う」方法は、独学の最大の弱点である立ち位置の不明さを補えるため、費用対効果が高い選択です。また、簿記1級までを独学で仕上げてから会計士講座に入ると、講座の消化がぐっと楽になり、結果的に受講期間と費用を圧縮できる場合もあります。
なお、試験制度や出題範囲は変わる可能性があるため、独学中心で進める方は特に、最新の情報は公認会計士・監査審査会の公式サイトで確認してください。
選び方の判断基準
最後に、迷ったときのチェックポイントを挙げます。
- 2年以内の合格を最優先するなら、予備校利用が近道になりやすい
- 資金に制約があるなら、簿記2級・1級までは独学で進めて資金を貯め、その後講座に合流する
- 過去に独学で簿記2級以上へ到達した経験があるなら、短答式の独学は選択肢に入る
- 論文式の添削だけは、何らかの形で外部の目を入れることを強くおすすめします
よくある失敗パターンと回避策
どちらの道を選んでも、つまずき方には典型があります。予備校利用者に多いのは、講義の視聴が追いつかなくなり「消化されない講義」が積み上がるパターンです。講義は倍速視聴や取捨選択を前提に、演習時間を死守しましょう。独学者に多いのは、教材を次々に買い足して、どれも中途半端になるパターンです。基本テキストと問題集を各科目1冊に絞り、同じ教材を繰り返す方が力になります。また、独学者は学習仲間がいないぶん孤独に陥りやすいため、学習記録の共有サービスや勉強会などで、進捗を人に見せる仕組みを持つと継続率が上がります。
まとめ
予備校は「時間を買う」選択、独学は「費用を抑えて自由を得る」選択です。合格実績の多くは予備校利用者が占めると言われる一方、簿記の独学経験者なら短答式まで独学で戦う余地は十分にあります。大切なのは二択で悩み続けることではなく、答練や添削など自分に足りない要素を見極めて、必要な部分にだけ投資することです。自分の資金・時間・性格を棚卸しして、続けられる形を選びましょう。
