会計マスター

公認会計士試験の全体像 — 短答式から論文式、合格後までを一気に俯瞰する

公認会計士を目指すかどうか考えるうえで、まず知っておきたいのが試験の全体像です。「試験に受かったらすぐ会計士」ではなく、合格後にもステップがあります。この記事では、出願から資格登録までの道のりをまとめて俯瞰します。細部を覚える必要はありません。まずは地図を手に入れましょう。

試験は2段階構成

公認会計士試験は、大きく2つの段階に分かれています。

段階形式実施回数位置づけ
短答式試験マークシート年2回程度論文式に進むための一次関門
論文式試験記述式年1回最終合格を決める本試験

短答式に合格すると論文式の受験資格が得られます。短答式の合格には一定期間の有効期限が設けられており、その間は短答式を免除されて論文式に挑戦できる仕組みです。また、受験資格に年齢・学歴などの制限はなく、誰でも挑戦できます。

年間の大まかな流れ

年度により日程は変わりますが、おおまかなイメージは次のとおりです。

  1. 出願: 試験ごとに定められた期間に願書を提出します。
  2. 短答式試験: 例年、年2回程度実施されます。1日で4科目を受験します。
  3. 短答式合格発表: 合格すると論文式へ進めます。
  4. 論文式試験: 例年、夏頃に数日間かけて実施されます。
  5. 論文式合格発表: 例年、秋から冬にかけて発表されます。

日程・実施回数などの詳細は変更されることがあるため、最新の情報は公認会計士・監査審査会の公式サイトで確認してください。

試験科目のあらまし

  • 短答式(4科目): 財務会計論、管理会計論、監査論、企業法
  • 論文式(必須4科目+選択1科目): 会計学、監査論、企業法、租税法に加えて、経営学・経済学・民法・統計学から1科目を選択

簿記3級・2級で学ぶ内容は、このうち財務会計論や管理会計論の土台にそのままつながります。簿記学習は会計士試験の「0合目」ではなく、すでに登山道の入り口なのです。

科目ごとの位置づけをもう少し補足すると、次のようなイメージです。

  • 財務会計論・会計学: 試験全体の中心であり、配点も最大級です。簿記の計算力がそのまま武器になります。
  • 管理会計論: 工業簿記・原価計算の発展形で、計算のスピードと正確さが問われます。
  • 監査論・企業法・租税法: 簿記にはない新科目ですが、会計の基礎があると理解が早いと言われます。
  • 選択科目: 経営学を選ぶ人が多数派と言われますが、得意分野に応じて選べます。

合格後のステップ — 試験合格から資格登録まで

論文式試験に合格しても、その時点ではまだ「公認会計士」を名乗れません。登録までにはおおむね次の要件を満たす必要があります。

  • 実務経験: 監査法人や事業会社などで一定期間の実務経験を積むこと。
  • 実務補習: 実務補習所に通い、所定の単位を取得すること。多くの人は監査法人で働きながら並行して通います。
  • 修了考査: 実務補習の修了時に行われる試験に合格すること。

これらを満たして登録すると、晴れて公認会計士となります。試験合格から登録までは、働きながらおおむね数年かけて進むのが一般的と言われます。

全体像を知ると学習計画が立てやすい

道のりが長く見えるかもしれませんが、逆に言えば各段階でやるべきことが明確な試験です。

  • 短答式はマークシートなので、知識の正確さを問う訓練が中心になります。
  • 論文式は記述式なので、理解を文章で説明する訓練が加わります。
  • 合格に必要な総勉強時間はおおむね3000時間程度と言われますが、個人差が大きい点には注意が必要です。

簿記3級から始めた人は、簿記2級、そして短答式の財務会計論へと、階段を一段ずつ上るように進めます。いきなり山頂を見上げると圧倒されますが、目の前の一段は決して高くありません。全体像という地図を持ったうえで、足元の一段に集中することが、長い受験生活を乗り切るコツと言われます。

まとめ

  • 公認会計士試験は短答式(マークシート・年2回程度)と論文式(記述式・年1回)の2段階構成です。
  • 受験資格に制限はなく、誰でも挑戦できます。
  • 論文式合格後も、実務経験・実務補習・修了考査を経てはじめて資格登録できます。
  • 簿記の学習内容は財務会計論・管理会計論の土台に直結します。

次回以降のコラムでは、短答式・論文式それぞれの中身をもう一歩詳しく見ていきます。