銀行勘定調整表を完全攻略 — 不一致6パターンと修正仕訳の要否
銀行勘定調整表とは
当座預金の帳簿残高と、銀行が発行する残高証明書の残高は、決算日時点で一致しないことがよくあります。この不一致の原因を分析し、両者の残高を一致させるために作成するのが銀行勘定調整表です。簿記2級では、不一致の原因を特定し、企業側で修正仕訳が必要かどうかを判断できるか、そして修正後の正しい残高を計算できるかが問われます。第1問の仕訳問題でも第2問の総合問題でも出題される、頻出かつ得点しやすい単元です。
不一致の原因は6パターン
出題される不一致の原因は、次の6つに整理できます。
| 原因 | 内容 | 調整する側 | 修正仕訳 |
|---|---|---|---|
| 時間外預入 | 銀行の営業時間後に預け入れ、銀行では翌日の入金扱い | 銀行側 | 不要 |
| 未取立小切手 | 取立てを依頼した小切手を銀行がまだ取り立てていない | 銀行側 | 不要 |
| 未取付小切手 | 振り出した小切手を受取人がまだ銀行に呈示していない | 銀行側 | 不要 |
| 連絡未通知 | 入金や引落しの連絡が企業に届いていない | 企業側 | 必要 |
| 誤記入 | 企業が金額などを誤って記帳した | 企業側 | 必要 |
| 未渡小切手 | 小切手を作成したがまだ相手に渡していない | 企業側 | 必要 |
銀行側に原因があるものは時の経過で自然に解消するため修正仕訳は不要、企業側に原因があるものは帳簿が事実と異なっているため修正仕訳が必要です。この区別がこの単元の最重要ポイントで、試験でも真っ先に問われます。
たとえば時間外預入は、企業は預け入れた時点で正しく記帳しており、銀行の入金処理が翌営業日になるだけの時間的なズレです。未取立小切手も未取付小切手も、銀行での手続きが進めば自然に一致します。つまり企業の帳簿はどれも正しい状態なので、直すべきものが何もないのです。一方、連絡未通知・誤記入・未渡小切手は帳簿そのものが事実とズレているため、放置すると財務諸表の金額が誤ってしまいます。
銀行側の調整(修正仕訳は不要)
- •時間外預入
- •未取立小切手
- •未取付小切手
企業側の調整(修正仕訳が必要)
- •連絡未通知
- •誤記入
- •未渡小切手
修正仕訳が必要な3パターン
連絡未通知
得意先から売掛金50,000円が当座預金に振り込まれていたものの、その連絡が企業に届いていなかった場合です。入金の事実に合わせて記帳します。
借方(左)
貸方(右)
誤記入
水道光熱費12,000円の引落しを、誤って21,000円と記帳していた場合、多く減らしすぎた差額9,000円を戻します。
借方(左)
貸方(右)
誤記入は正しい仕訳と誤った仕訳の差額だけを修正するのがコツです。金額を貸借逆に記帳していた場合は差額が2倍になる点にも注意しましょう。
未渡小切手
買掛金支払いのために小切手10,000円を作成して当座預金の減少を記帳したものの、まだ相手に渡していなかった場合です。実際には支払いが完了していないため、当座預金を元に戻します。
借方(左)
貸方(右)
注意したいのは費用の支払いのために作成した未渡小切手です。広告宣伝費などの費用はすでに発生しているため、費用そのものを取り消すのではなく、未払金という負債で処理します。
借方(左)
貸方(右)
両者区分調整法で残高を一致させる
銀行勘定調整表の代表的な作成方法が両者区分調整法です。企業の帳簿残高と銀行の残高証明書残高のそれぞれに原因別の調整を加え、修正後の残高を両者で一致させる方法です。
| 企業側(帳簿残高) | 金額 | 銀行側(証明書残高) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 修正前残高 | 80,000 | 修正前残高 | 109,000 |
| 未渡小切手(加算) | 10,000 | 時間外預入(加算) | 20,000 |
| 誤記入(加算) | 9,000 | 未取付小切手(減算) | △30,000 |
| 修正後残高 | 99,000 | 修正後残高 | 99,000 |
この例では、企業の帳簿残高80,000円に未渡小切手10,000円と誤記入9,000円を加算して修正後残高99,000円となり、銀行の証明書残高109,000円に時間外預入20,000円を加算、未取付小切手30,000円を減算した金額と一致します。
企業側の加算・減算は修正仕訳での当座預金の増減と対応し、銀行側の加算・減算は今後銀行残高がどう動くかと対応します。加算か減算かで迷ったら、その原因が解消したときに残高が増えるのか減るのかを考えると判断できます。時間外預入なら翌営業日に銀行残高が増えるので加算、未取付小切手なら相手が呈示したときに銀行残高が減るので減算、という具合です。
- 1企業の帳簿残高と銀行の残高証明書残高を左右に並べる
- 2不一致の原因を企業側・銀行側に振り分ける
- 3それぞれの残高に加算・減算の調整を加える
- 4修正後残高が両者で一致することを確認する
そして、貸借対照表に計上する当座預金は、修正仕訳をすべて反映した修正後の残高です。この例では99,000円が正しい当座預金の金額になります。修正前の帳簿残高や銀行残高をそのまま使わないよう注意しましょう。
まとめ
- 不一致の原因は6パターンで、銀行側3つは修正仕訳不要、企業側3つは修正仕訳が必要
- 連絡未通知と誤記入は事実に合わせて帳簿を直す
- 未渡小切手は当座預金を戻し、相手科目は買掛金または未払金
- 両者区分調整法では修正後残高が一致し、それが貸借対照表の当座預金になる
パターンの暗記だけでなく、修正後残高の計算まで解けるようになれば得点は安定します。下の問題集で6パターンの判断と金額計算を練習しましょう。
📚 試験で覚えるべき用語
- 銀行勘定調整表
- 当座預金の帳簿残高と銀行の残高証明書残高の不一致の原因を分析し、両者を一致させるために作成する表。
- 時間外預入
- 銀行の営業時間後に預け入れたため、銀行では翌営業日の入金扱いになるもの。銀行側の調整で修正仕訳は不要。
- 未取立小切手
- 取立てを依頼した小切手を銀行がまだ取り立てていないもの。銀行側の調整で修正仕訳は不要。
- 未取付小切手
- 振り出した小切手を受取人がまだ銀行に呈示していないもの。銀行側の調整で修正仕訳は不要。
- 連絡未通知
- 当座預金への入金や引落しの連絡が企業に届いておらず未記帳のもの。企業側の原因で、事実に合わせる修正仕訳が必要。
- 未渡小切手
- 作成して当座預金の減少を記帳したが、まだ相手に渡していない小切手。当座預金を戻し、相手科目は買掛金または未払金(費用の支払いの場合)。
- 両者区分調整法
- 企業の帳簿残高と銀行の証明書残高のそれぞれに原因別の調整を加え、修正後残高を一致させる銀行勘定調整表の作成方法。修正後残高が貸借対照表の当座預金になる。
